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読書ろぐ

行雲流水、気の向くままに読書した感想

家康、江戸を建てる(門井慶喜著) - 江戸を整備した技術者魂に感銘を受けました

「ひよっこ」が始まりましたね。なんでも高度経済成長で沸く日本を陰から支えていた人々の姿を描いているだとか。(すみません、僕は見ていないので内容はネットで調べました…)
2019年の大河ドラマは宮藤官九郎さんによる、東京オリンピックを題材としたドラマ。これも関東大震災、東京大空襲を経て、復興を遂げた首都「東京」の話です。

本屋でたまたま見かけて、手にとってみた「家康、江戸を建てる」という本を読んでみました。
この作品はそのはるか前、江戸に幕府が出来る頃の、江戸という都市の礎を築いた技術者たちの話となります。
面白かったので紹介したいと思います。

あらすじ

関東には、のぞみがある──
究極の天下人が描いた未来絵図とは?


「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」
天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。
その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。
愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた……。
ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!

参考元:

家康、江戸を建てる 門井慶喜

目次

  1. 流れを変える

  2. 金貨を延べる

  3. 飲み水を引く

  4. 石垣を積む

  5. 天守を起こす

ちょっと中身ご紹介

あらすじの通り、徳川家康は豊臣秀吉の命により、関八州(関東)への国替えに応じる。
そして城は江戸にすることを決意する。
家康ははじめて江戸を訪れた際に想像以上のお粗末さに驚くが、「ここを、わしは大阪にしたい」と家臣たちに宣言する。

実際に江戸に幕府が開かれ、今日の首都東京となるのですが、水びたしの低湿地ばかり広がる当時の江戸を家康はいかにして都市としたのか。
江戸の礎を築いた者たちの話となります。

  • 「流れを変える」では、伊奈忠次が利根川の東遷をいかにして行ったのか。

  • 「金貨を延べる」では、橋本庄三郎が江戸時代の通貨の先駆けとなる、武蔵小判をつくり、流通させたのか。

  • 「飲み水を引く」では、大久保藤五郎、内田六次郎、春日与右衛門がどうやって江戸に飲める水を引いてきたのか。

  • 「石垣を積む」では、いかにして江戸城の石垣を積んでいったか、石切(採石業者)の親方である「見えすき吾平」が自身が切り出した巨大な石がどうなるのかを見届けたのか。

  • 「天守を積む」では、江戸幕府を継いだ秀忠が必要ないと考えていた「天守」を家康はつくり、秀忠は「天守」をつくる理由をどう考えたのか。

どのストーリーも技術者魂がふんだんに盛り込まれ、読み応えのある内容となっています。

感想

徳川家康と聞けば、「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」。
徳川家康の家臣といえば、徳川四天王「酒井忠次」、「本多忠勝」、「榊原康政」、「井伊直政」。
はたまた昨年の真田丸をご覧になっていた方でしたら、「本多正信」を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれません。
僕も「本多正信」を思い浮かべた一人です。

しかし、このような有名どころの家臣たちの話ではありません。(ちょっと名前が出てくる人がいる程度です)
戦国時代だと、やはり戦で名を挙げた方ばかりがフォーカスされていますよね。
けれどこの作品、戦の話ではなくて江戸の礎を築いた技術者たちの話だったんです。

当時の技術力や情勢がよくわからない僕ですが、この技術者たち、物凄いことをやってのけています。
しかも技術者たちの心情が良く描写されていて、とても読み応えのある作品でした。
東京に住んでもう10年くらいになりますが、幕府開府前の江戸がどういう状態で、どれだけの労力を使って江戸という都市ができたのか。
読んでみて感動しました。

それ以上にインパクトが大きかったのが、やはり「徳川家康」。
「魚は殿様に焼かせよ、餅は乞食に焼かせよ」ということわざもありますが、家臣たちの長所を見抜き、適材適所に仕事を与える管理力。
戦国時代の武将の中でも徳川家康はあまり好きではない方だったのですが、この本を通して、やはり偉人と痛感させられました。

たまたま見かけて手にとってみた本でしたが、ほんと良い本に巡り合えたなと思いました。
偶然に感謝です。