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読書ろぐ

行雲流水、気の向くままに読書した感想

暗幕のゲルニカ(原田マハ著) - ピカソの戦争

2016年上半期直木賞ノミネート作品だったということで、「暗幕のゲルニカ」を読んでみました。
こちらの作品は2017年本屋大賞にもノミネートされ、6位になった作品でもあります。

本屋大賞

絵画に疎い私としては「ゲルニカ」という作品がパブロ・ピカソの代表作であることなど全く知らず、この本を通して知りました。
本作はそんな絵画・美術に疎い私が読んでも大丈夫な作品となっていました。
ぜひ読んでもらいたい一作だと思いますので、本作についての感想を載せたいと思います。

あらすじ

一枚の絵が、戦争を止める。
私は信じる、絵画の力を。
手に汗握るアートサスペンス!


反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。
国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した――誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか?

ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。
現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。


参考元:

www.shinchosha.co.jp

本作の内容

あらすじにもある通りイラク空爆前夜、当時のアメリカ国務長官コリン・パウエルが記者会見を行った際に、そこにあったはずの「ゲルニカ」のタペストリーが暗幕で隠されたのは本当の話です。

インタビューバックナンバー | 波 -E magazine Nami-|Shincho LIVE!(新潮ライブ!)| 新潮社のデジタルコンテンツライブラリー

本作の冒頭、次のパブロ・ピカソ氏の言葉から始まります。
芸術作品は、部屋を飾るためにあるのではない。敵との闘争における武器なのだ。

物語は現代のニューヨークでニューヨーク近代美術館(MoMA)でキュレーターを務める主人公:瑤子が企画する「ピカソの戦争」展と、
スペインと大戦前のパリでのピカソが「ゲルニカ」を描いた話が交錯しながら進みます。
スペインと大戦前のパリでのピカソについては、写真家のドラ・マールの視点で「ゲルニカ」誕生のドラマおよび誕生後の「ゲルニカ」について描かれています。

物語は後半に進むにつれて壮絶なドラマとなっていき、最後まで目が離せない内容となっています。

感想

悪の連鎖

本作の中で度々、「悪の連鎖」という言葉が登場します。

  • 「正当な暴走などない、すべての暴走は不当」

  • 「暴力を暴力で抑えようとすれば、また暴力を引き起こすだけ」

  • 「現代になっても悪の連鎖はなくなっていない、悪の連鎖はどんどん増すばかり」

このメッセージは自分自身も同意見です。
普通のサラリーマンが戦争を止めることはできませんが、家族・友人・同僚など身近な人に対して暴力を与えないことはできると思います。
ささいなことかもしれませんが、このささいなことが、「塵も積もれば山となる」のではないかと改めて感じました。

ゲルニカは誰のもの?

ピカソが描いた「ゲルニカ」は「反戦や抵抗のシンボル」となっています。

ゲルニカ (絵画) - Wikipedia

本作の中に「ゲルニカは誰のもの?」という話題があります。
この問いに対しての答えは、ぜひ本作を読んでみてください。

印象に残った一言

  • 「どんな困難があろうともあきらめずに挑戦を続けてきた君を、僕は誇りに思うよ」

これは物語の最後に、主人公に対して戦友(親友)が贈った言葉です。
本作を読めばこの言葉がどんなに重い言葉なのかがわかると思います。
また、主人公に対して贈られた言葉ですが、この言葉は著者から読者全員に贈った言葉なのではないでしょうか。

自分も何かをつくる仕事をしている人間なので、人の心に残るものをつくりたいと感じさせられました。

おわりに

美術に疎い私にパブロ・ピカソの「ゲルニカ」に込められた思い、美術作品にはメッセージが込められているということを教えてくださった本作および著者の原田マハさんに感謝します。
今後は少しアートにも興味を持っていきたいと思います。
また、原田マハさんの著作「楽園のカンヴァス」についても読んでみようとおもいます。

一度は行きたいと思っていたスペイン旅行。また一つ行きたい理由ができました。